こんにちは。もりもり先生です。
先日公園を散歩していたら木々が黄色く色づき始めていました。
この時期になればようやく羽虫もいなくなり、外でマスクを外すのも躊躇しません。
なんでか知らないけれども、私は外で口を開けると高確率で虫が入ってきます。
それに反して室内には蜘蛛さんがひょこひょこ現れます。
小さな蜘蛛は益虫なので、冬の引きこもり仲間です。
引きこもっているとふと思い出すのがフランツ・カフカの「変身」というお話です。
ある朝主人公が目覚めると、体が巨大な何かに変身していた。というお話です。
外に出ることもできず家の中に引きこもってしまいます。
短いお話ですし、読むのが遅い人でも30分は要さないのではないでしょうか。
「変身」は長編小説ではありませんが、たくさんの考察がされています。
なにぶん、出だしの文章が難しいのです。
「ある朝、グレーゴル・ザムザがなにか気がかりな夢から目をさますと、
自分が寝床の中で一匹の巨大な虫に変っているのを発見した。」
この「虫」の部分が一番重要なのですが、翻訳が何種類かあり
・巨大な毒虫
・薄気味悪い虫
・巨大な甲虫
・化け物じみた図体の虫けら
など、様々です。
私が最初に読んだのはおそらく先ほど挙げた高橋義孝氏翻訳のものだと思います。
頭の中での主人公の姿は「もふもふとした巨大な蜘蛛」のイメージです。
多分冒頭に話した、一緒にひきこもる虫のイメージから来てます。
原文ではドイツ語で「Ungeziefer (ウンゲツィーファー)」とかかれており、
直訳すると「害のある小動物」となり、意味合いとしては「ネズミ・ゴキブリ・ばい菌」など
虫に限ったものではないようです。
今回調べていた過程で、どんな姿なのか気になってWebで聞いている人を見かけましたが、
なぜこんなに気になるのか。
それはカフカが「変身」の表紙挿絵に
「姿を描いてはいけない」「遠くからでも姿を見せてはいけない」
という注文を出したため、カフカの持つ虫のイメージが具現化していないことが影響しているでしょう。
そこにさらにカフカがオーストリア=ハンガリー帝国(現在のチェコ)生まれのユダヤ人
という材料が加わり、
虫とはこんな「思想の偏り」を「抽象」しているのではないか
父親とのこういう関係が「虫」という立場と「家人」という立場に表れているのではないか
などと色々な考察がはかどっているようです。
ユダヤ人だから何なのか、という方はナチス時代の戦争を調べてみるといいです。
作家の背景を考察しながら抽象的な話を読むのが楽しい方は文学者向きかもしれませんね。
私は想像することが楽しいだけなので、他の人の考えを読んで、ふんふん。と面白がっているだけです。
いただけなかったのは「変身」の映画化ですね。
できれば「虫」を形にしてほしくなかったです。なので観ていないです。
物語を読むときは、想像力が必要になります。
脳内に自分にしかわからないオリジナルの映像が頭に浮かびます。
それはとても大事な現時点での自分の知識です。
想像がつかない人は辛いかもしれませんが、初めは頑張って繰り返し読んでみましょう。
数学はたくさんの問題を解く方がいいですが、国語は繰り返しが重要です。
知識は増えれば増えるほど、物の見え方が変わってきます。
それは物語の解釈も同じです。
一つのことに捕らわれてもいいですが、それしか見えないのではなく
色々見えているうえで一つに注目して考える、という方が情報社会の今は安全です。
とにかく色々なものをみましょう。
「見る」「観る」「視る」
すべて必要な「みる力」です。
今後もその礎を作るお手伝いができるよう、偏らない視点で情報発信していきたいですね。
ではまた。
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